既存瓦の現状

現在は「いぶし瓦」です。いぶし瓦は粘土瓦で、窯で焼いた後に空気を遮断して蒸し焼き（燻化）にすることで表面に炭素膜を形成しうすい灰色（いぶし銀）になります。これが多くの人が思い浮かべる日本瓦・和瓦ですね

いぶし瓦は水を吸いにくい屋根材ですので耐久年数は30～50年あります。しかし時間経過とともに表面の炭素膜が剥がれていくため黒ずんでいきます。もともと瓦表面の炭素膜に個体差があるため変色の速度にも差があります。なので屋根全体を見るとまだらに見えてしまうのです。ただこの黒ずみや変色は表面上の事だけなので防水機能としてはほとんど変わらないので大丈夫なんですが、ここまでくると葺き替えたいというお施主様の気持ちはよくわかります。

古い瓦を撤去していきます。いぶし瓦は一枚約2.6㎏ありますので一坪で約140㎏にもなります。なのでクレーンを使い荷下ろし作業を行います。

瓦を引っ掛けていた古い桟木（さんぎ）を取り外し、古い防水シート（ルーフィングシート）も撤去します。

新しいルーフィングシートを貼っていきます。これは改質アスファルト下葺材「タディスブラッサム」で、表面のエンボス加工により瓦桟を浮かせ、瓦の下に回り込んだ雨水を速やかに排出させることができる瓦屋根専用の下葺材です。

瓦を引っ掛けるための新しい桟木を一定の間隔で取り付けていきます。

野地換気を取り付けます。現在よく使用されるルーフィングシートの多くは気密性、防水性が高く雨漏れしにくい反面、通気性がほとんど無い為、屋根裏の湿気や熱気が外に逃げず結露などが起きてしまいます。それらを防ぐことで建物を長持ちさせることができますので野地換気はおすすめです。

桟木の上に瓦を取り付けていきます。桟木に瓦の裏側にあるツメを引っ掛けて瓦が落ちないようにステンレスのビスでしっかりと固定します。

最後に大棟、隅棟を施工していきます（これは隅棟です）棟に固定金具と下地木材を取り付け防水の為木材廻りになんばん漆喰を詰めていきます。この施工法は「乾式工法」と呼ばれ、棟瓦を金具で固定するので耐久性に富んでいて重量も軽減されるので耐震にも安心な工法です。もう一つ昔ながらの「湿式工法（粘土で瓦を固定する）」がありますが、耐震やメンテナンス性という観点から、現在葺き替えではあまり行いません。

棟瓦を取り付けて完成になります

まとめ